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星空の中の茶文化 ~ティーポット座~

更新日:2021年12月19日

1. 挨拶


 どうも皆さまこんにちは。理学部天文学科4年の河口祐希です。紅茶同好会KUREHAのAdvent Calendar 2020にお越しいただきありがとうございます。Advent Calendarには本日12 月1日から12月25日まで、当会員が各々好きな題材についてKUREHA公式ウェブサイトに記事を投稿し、来るクリスマスまでの日数を数えます。本日12月1日の開幕投手は会長の私が務めさせていただきます。


 私は上記の通り理学部天文学科に所属しますが、星座について研究しているわけではありません。というのも天文学は天文現象、ひいては宇宙を現代科学(e.g. 物理学/数学)で語ることを目標とする自然科学な訳です。例えば私の卒業研究などは学科同期にすら説明するのに1時間かかるレベルで細かい事をやっていますが、大まかには星を物理学で研究しています。お星様かわいい!(物理学的な意味で)

 

 それに対し、星座というのは人文科学で語られるべき対象だと思います。というのも、「地球から見ればたまたま近い位置に見える(比較的)明るい星々を人間が勝手に印象付けたもの」であって、むしろ、詩や絵画などと近しい存在です。なので、当然異なる文化からは異なる結果が出来ます。例えば、メソポタミアを起源とする西洋の88星座の他に、中国には二十八宿という星座システムがあります。


 星座を通して我々は文化を知ることが出来るかも?という視点の下、今回はお茶文化が星座に表れた(かもしれない)例として「ティーポット座」というものを簡単に紹介し議論してみたいと思います。


2. 「ティーポット座」と「射手座」


 ティーポット座は夏の星座の一つである射手座の星(の一部)から構成されます。


左:射手座 右:ティーポット座


射手座における弓の部分がティーポット座の注ぎ口です。さらにティーポット座の近くには天ノ川があり、ちょうど注ぎ口付近にある事も踏まえ、天ノ川を湯気と表現することもあるようです。天の川が恒星の集まりでとても高温である事を意図しているのか……?(深読み)


 じゃあ、ティーポット座は射手座なのでは?という疑問は当然わいてきます。確かに、プラネタリウムなどの解説を聞くと、ティーポット座は「射手座の目印」として用いられているようです。ティーポット座が位置するのは射手座の上半身の明るい星に相当し、逆に言えば射手座の下半身は上半身に比べて暗い星が並んでいます。その為、射手座の目印としてティーポット座が最適なことを示しています。オリオン座を見つけるのに三ツ星を当てにするのと同様だと思ってもらえればわかりやすいと思います。これらからすれば、ティーポット座は射手座抜きにあるとは言いづらく、射手座の一部として捉えるという考え方も正しいと思います。


 しかし、あえて私はそうではないと考えます。星座が文化を表すことを踏まえると、ティーポット座はティーポットという近現代の西洋の茶文化の産物を模していると言えます。古代神話の射手を表す射手座とは独立の星座として考える方が、元来の文化を表す星座の文脈に即しているのではないでしょうか。そもそも射手とかいう人は現代社会に殆どいないので、正直なところイメージがわかりません。ティーポットの方が10000000倍分かります。他にも、例えば88星座にはインディアン座とかいう星座もありますが、インディアンってどんな感じだよ……って感じです。そんな良く分からないものをモチーフにされたら、想像力が枯渇した現代人(こと私)は星を繋げられません。


 そう思うと、88星座を基に考えるのはそもそも視野が狭いのでは?という気もしてこないでしょうか。目印として扱うならもっと現代に即したものを考えるべきです。また、星の楽しみ方として各々の星座を考えるのも面白いでしょう。「あ、あの星々はイチローが打席前にやるルーティンみたい!」みたいな会話も(多分)許されるわけです。その為、当然ティーポット座という星座があるとするのも問題が無いのではないでしょうか。


3. まとめ


 ということで、ティーポット座から始まり、星空の楽しみ方まで頑張って話を広げましたが、もう書く事がないのでまとめて終わります。ブログとはそんなものです。

 まとめると、ティーポット座の様に88星座に問わられずに自由に星空を楽しんでほしい!という事です。その気持ちを持って、プラネタリウムに行ったり、午前二時踏切に望遠鏡を担いでみたりしてみてください。天文がより身近になるのを私は願っております。


文責:河口祐希


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