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手を抜いて紅茶を飲もう

 今日は、紅茶の飲み方なんてどうでもいいという話をしようと思う。

 紅茶の飲み方なんてどうでもいい。


 こんなことを言うと各方面から怒られるかもしれない。緊急リモート会議が開かれ、私のKUREHAからの除籍処分が決議される可能性だってある。除籍ならまだしも、「あんまり顔見ないし、いてもいなくても一緒だよね。無視しよう」みたいな結論が下された日には流石に生きていく自信がない。

紅茶の飲み方なんてどうでもいい、とは、一人のKUREHA会員としてそんなことは百も承知の上での、そのくらいの覚悟をもっての発言である。


 まず愚痴を聞いてほしい。

 これは至極当然なことだが、茶葉は高い。コストパフォーマンスの厳密な調査をしたことがあるわけではないが、質を求めれば値段が上がるのは世の理。そして、それがほぼほぼ青天井に近いものであることも言うまでもない。ソシャゲのガチャとは違うのである。

 よい茶葉を手に入れようと思えば、品質の分だけ値段は跳ね上がる。それだけならまだしも、より厄介なのは、そういう「よい茶葉」に限って、量が少ないことである。品質は上がり、値段は上がっているが、それによって入手できる量は少ない、となると、3項目のうち2項目でケチがつく。一般的な金銭感覚の持ち主が、こうした領域に手を出そうとしても、二の足を踏むのは間違いない。出そうとしているのは手なのに踏むのは足とは、これ如何に。

 茶葉に限らず、紅茶を飲むための道具をそろえるのは面倒だし、その管理も厄介だ。ティーポットは丸くてすぐ割れそうだし、飲んだ後の茶葉を捨てるのも面倒だ。カップとソーサーも洗うというなら、いよいよキッチンのスペースは圧迫されてくる。


 ちなみに、ここまで書いたことは全て「ペットボトルの午後の紅茶を買う」ことによって解決できる。実際、私も午後の紅茶は(無糖のものに限り)たまに飲む。悪くない味である。安く、手間がかからず、無駄な気を回すこともない、最高の紅茶の楽しみ方であると言えよう。

 では、それを理解しているのに、なぜ私は紅茶をわざわざ茶葉から淹れて飲んでいるのか。そして、上記の問題にどのように対処しているのか。


 第一の問いに対する答えは「なんかかっこいいから」である。確かに言われてみれば、紅茶はおいしい気もするし、眠気覚ましになる気もするし、いい香りがする気もする。(こんなに人の意見に左右されてばかりでは、そのうち「言われてみれば」で超能力に目覚めることがあるかもしれない。)

とはいえ、それは紅茶に詳しい人と話すときに何となく感じることでしかない。わたしはとにかく「それっぽい」から、別に誰に見せるわけでもないが、紅茶を飲んでいる。いわば自己満足である。

 第二の問いに対する答えは「安く、そして雑に淹れている」である。たとえば、ティーポットは近くの百均で売っていたものだし、茶葉は人が買ったと話していたものより数段格落ちしているものを買う。私は茶葉100gに1000円というのが「高級」のラインであると思っている。こうなると大体の茶葉は高級品になるわけだが、発想を変えれば「安くセレブ気取りができる」とも言える。貧乏人の発想とか言うな。

 淹れ方だって、適当に沸騰させたお湯を、適当な量の茶葉が入ったポットに注ぐ。これだけだ。この場合の適当とは、適当でないほうの適当である。当然だが、妙に渋かったり、妙に味が薄かったりすることもあるが、そこは慣れればどうにでもなる。学習能力の低い私も最近慣れてきた。もちろんティーカップとソーサーなんて洒落たものはない。さっきまでリンゴジュースを飲んでいたマグカップを3秒すすいで、そこにぶち込むのだ。


 私が伝えたいのは、ただ一つ。こんな雑な(それなりに所属歴の長い)会員がいるのだから、みんなもっと雑に紅茶を飲んでもいいということである。

 東大生は結構な割合でお金持ちであり、また頭がいい。だから、本気で紅茶を学ぼうとすれば、きっとどれだけでもお金をかけることができるし、どれだけでも学び、試行錯誤し、正しく紅茶を淹れることができるだろう。

 だが、私のように、お金が潤沢ではない人間だっているし、そこまで向上心のない人間だっている。そして、そういう人間だって紅茶を飲んでいい。というか、そういう人たちが潤沢にいる状況こそ、健全な状態だと私は思っている。

 もしこの記事が掲載されることを許されるなら、そう思っているのはきっと私だけではないのだろう。紅茶を丁寧に飲むのと同じくらい、紅茶を雑に飲むことは、当会の発展に寄与している……なんて言ったら、さすがに怒られるだろうか。


(業務連絡)

 手元に「アイドルマスター シャイニーカラーズ」のカップとソーサーが大量に届き、処置に困っています。カップとソーサーが欲しいという方、連絡いただければお譲りします(値段は要相談)。


文責:森裕晃 

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