はじめに
こんにちは、学部1年の水津です。
12月2日・3日 地紅茶サミットinぎふ に行ってきたので、そのことについてお話できればと思います。
良くも悪くも紅茶同好会らしい(?)記事になるかと思いますが、お付き合いください。
まずは地紅茶について少しだけ解説させてください。
(ここでの解説は第21回全国地紅茶サミットinぎふ2023の熊崎俊太郎さんによる基調講演を参考にしています。限定公開されている講座なので、リンク添付などは控えさせていただきます。)
そもそも地紅茶とは「その土地で採られた茶葉で作られた紅茶」のことで、その地域の気候風土、産業・食生活と深く関わることが多いです。
「和紅茶」「国産紅茶」といった表現が「日本で生産された紅茶全て」のことを指すのに対し、地紅茶はその中の一部、より地域密着的なお茶を指します。
また、「地紅茶」という表現は特に地域を指定していませんので、外国産の紅茶も場合によっては「地紅茶」と呼べるそうです。
(ということは、地域性が強く地名を冠することの多い中国紅茶は地紅茶となりうるのでは…?)
日本における地紅茶の生産量は年々増加しており、2023年時点では1002か所もの生産拠点があるそうです。下の地図が2023年度版の地紅茶マップ (出典:全国地紅茶サミット世話人会) です。47都道府県すべてで地紅茶が生産されるようになったのは最近になってのことだそうです。近年は国産の烏龍茶や白茶もよく見かけるようになりましたね!
(ちなみに、緑茶も白茶も烏龍茶も紅茶もすべて同じ「茶」という植物の葉から作られます。違いは製法のみということです。)
地紅茶サミットは今年で21回目。地紅茶界はまだまだ盛り上がっていきそうなので、個人としても同好会会員としても注目していきたいです。
ここからは私が特におすすめする出展者の方々をご紹介します。
出展者さんについての情報の出典は以下の通りです。
第21回全国地紅茶サミットinぎふ2023公式Instagram:https://www.instagram.com/jikocha_gifu/
出展者さんのオンライントークアーカイブ:https://jikocha-gifu2023.blogspot.com/
①茶ノ花 (ちゃのか) さん
鹿児島県の自然派国産茶専門店。九州の自然派茶農家さんのお茶を中心とした仕入れ販売が主で、自製の手炒り釜炒り茶や手揉み紅茶なども取り扱っていらっしゃるそうです。
製茶の際に余韻を最重視されているそうです。オンライントークで 鼻に抜ける香り・喉に抜ける味わい・爽快感を大切にしている というお話や、手揉み紅茶はダージリンファーストフラッシュ系を目指した というお話を聞いて、これは買うしかないと思い、サミット開始早々茶ノ花さんを目指しました。
(ダージリンファーストフラッシュとは、インドの有名な紅茶産地ダージリンで3〜4月に収穫される新茶のことで、爽やかな青みや花のような香りが特徴的です。私は大好き)
開始直後だったのでまだ人の入りが少なく、ゆっくり試飲とお話をさせていただくことができました。ファーストフラッシュ系の手揉み紅茶をちょうど淹れるところだったようで、茶葉を見せていただくという特大サービスを受けました。最高!
どれも華やかな香りと繊細な味わいを持ったお茶なのですが、写真の水色 (「すいしょく」と読み、お茶の液の色を意味します) からもわかる通り、個性豊かで 茶葉の可能性が活かされているように感じました。お目当てのファーストフラッシュ系は全種類買えました。うれしい!!
②一心園 (いっしんえん) さん
宮崎県日之影町の茶農家さん。べにふうき (日本のお茶の品種のひとつ。紅茶向けとされます) など全6種類の紅茶を販売されていました。どの茶葉も大きく撚られていてかわいかったです。
サミット中私はなんと 地紅茶界のレジェンド 村松二六さんにお会いすることができました!お会いしたと言っても一瞬挨拶をしただけなのですが、それでもフレンドリーにおすすめのお茶を教えてくださり「すごい…教科書で見た(?)人が存在している…」と感激していました…。(そして興奮のあまり写真を撮り忘れました。)
そんな村松さんが 一番旨い と断言されたのがここ一心園さんの べにふうき2023 second です。まず茶葉の段階から蜜香 (さつまいも・はちみつを思わせる甘い香り) がすごい!飲むと口の中で芋系のまろやかな甘さが広がるのですが、台湾の蜜香紅茶よりもしっかりした紅茶の味や香ばしさを楽しめます。蜜香にしようと意識をして作られたわけではないそうで、たまたまこのような華やかなべにふうきができたとか。面白いですね!
それから試飲で気に入ったのが青心ダーパンです。
名前通り台湾産の品種で作ったお茶で、柑橘のような香りと数年置いた白茶系の甘みに衝撃を受けました…が、この時点で他の出展者さんのところで2万円近く消費していた私は尻込みをしてしまい「まあ明日も行くから明日買えばいっか」と とりあえずべにふうきだけを買う という愚かしい選択をしました。
翌日 べにふうきと青心ダーパンは 無事売り切れていました。しかも青心ダーパンはサミット限定・通販未販売のものだったそうです。(茶園では2列分しか栽培していないらしい) 悲しい…。
2月のジャパン・ティーフェスティバルで数少ない残りを販売されるそうなので買います。
青心ダーパンが買えなくて悔しくて買ったのがこちらのたかちほ (これも日本のお茶の品種) 烏龍茶。品種製法などは同一で、製茶日のみ違うのですが、味・香りが異なるそうです。
果たして私の味覚はその違いを理解できるほど強化されているのか、飲み比べお茶会でもして今度試してみようと思います。
③服部嗣人 (はっとりつぐと) さん
奈良県東吉野村で地域おこし協力隊として働きながらお茶づくりをしている農家さん。
放棄茶園の開墾から始めたそうで、手摘みのお茶を生産しているそうです。
事前にインスタで情報を見ていた際、写真に蓋碗 (中国茶を淹れるための茶器) が写っていたので、中国茶、特に白茶が好きな私は「白茶とかあるってこと?!」と期待に胸を膨らませていました。余韻のある、何煎もできるお茶を目指しているというところも期待大です。
銀針がある!!!!!!!!
しかもよく見たら隣にゴールデンチップもある?!?!?!?!
これら芽茶 (茶の芽の部分だけで作ったお茶。甘みとうまみが強い。私は大好き) はめっちゃかわいいので大好きです。芽茶こそ正義です(個人の感想です)。
試飲でいただいたのは手摘みの紅富貴(夏)(べにふうきって漢字だとこう書くのでしょうか。強そうで好きです)。はじめて中国紅茶を飲んだ時と同じ種類の感動を味わいました。フルーティな香りととろっとした飲み口、私の好きな紅茶です。
芽茶の試飲はなかったので完全に茶葉のビジュ買いになりました。こんなにかわいかったら買っちゃうよね…。
④陣構茶生産組合 (じんがまえちゃせいさんくみあい) さん
鳥取県の大山の麓で20年以上紅茶を有機栽培されている茶園さん。鳥取で唯一の紅茶生産茶園だそうです。
この茶園の面白いところは、ラインナップの主力が べにひかり (これも日本のお茶の品種) であり、べにふうきを売っていないところです。
なんでも、十数年ほど前にべにふうきを作ろうとしたところ例年にない大雪に見舞われてべにふうき が (それからやぶきた/日本のお茶の品種、緑茶向き も) 枯れてしまった際に、唯一生き残っていたのがべにひかりだったとか。
その生命力は味わいにも出ていて、口に含むと蜜香系とは異なる素朴で力強い甘みとほのかな渋みを感じられます。なんか大地!って感じです。個人的には塩気の強いおにぎりと一緒に食べたいです。
今年は暑い日が多かったからか (通常とは異なりやぶきたよりも早く芽が出てしまうなど) べにひかりの成育が不安定だったそうで、事前オンライントークで堂々と「今年のは微妙」とネガキャンしていたところが個人的に大好きです。そんなことを全く感じさせない味わいだったので、例年通りの品質のべにひかりを飲んだら私はどうなってしまうのでしょうか。
ただ、会場で試飲したときに感じたやさしいメンソール香が自分で淹れるとはっきりとは出せないことが悔しいです。飲んだ後には舌の裏あたりにさわやかさを感じられるのですが、口に含んで感じられるように試行錯誤したいです。うまくメンソール香を出せたらすっきりしたミルクティーにできそうでいいですね。
おわりに
全部で29ブースありましたが、どの出展者さんのお茶も独自色を打ち出すための工夫に満ちて個性的だったので、全く試飲疲れしませんでした。味覚のリセットのためと水を持参していたのですが、一回も飲まずに終えました(飲んでいたら違いをもっと楽しめたかもしれないという反省はあります)。
最終的に4万円弱消費したのですが、よく抑えたほうだと思います。ひとつ愚痴をこぼすと、地球にやさしい中国茶交流会 (東京で12月2日・3日に開かれていた中国茶のイベント) に行けなかったことが心残りです。(実際そういうことをしている方には何人かお会いしました。猛者だ…)
来年の地紅茶サミットは対馬で行われるそうです。中国茶交流会とは日程が被っていないので両方参加できそうなのがうれしいですね。(バイトを増やそうと思います…)
お茶を共有することによる出会いの発生とその縦横への広がりを感じることができるイベントでした。KUREHAがそういう場になってくれたら素敵だと私は思います。
たくさん買ったあとは たくさん飲む!!! ということでこれからしばらく私の毎日は地紅茶祭りとなります。楽しいですね!
最後まで読んでくださりありがとうございました!地紅茶への興味を広げるお手伝いができていたらうれしいです。
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