まえがき
11月末。早くもクリスマスシーズンに突入し、街中がおとぎ話の世界のような明るいムードに覆われたパリ。お店のショーウィンドウには華やかなクリスマスの飾り付けがなされ、街角にはクリスマスツリー。暗くなるのは早いものの、宝石のようなイルミネーションの瞬きが街ゆく人を照らす。そんな温かく柔らかい、高揚感あふれる西欧の街に、遠く東の国から疲れ切った旅人が降り立ちました。その旅人は穏やかな街の空気とは裏腹に、息もたえだえになりながらパリを這いずり回り、そして数日後、逃げるように満身創痍の状態で花の都を発ちました。これは、常軌を逸した旅行を計画し、大いに後悔した人のお話。
5泊10日?計算ミスじゃないの?
お読みくださってありがとうございます。2年の小関です。タイトルの通り、僕は5泊10日の旅行に行ってきました。多くの方は何言ってるの???とお思いでしょう。通常の旅行は2泊3日のように日数が泊数+1で、深夜便を使ったり遠い国に行ったりすれば4泊6日のように日数が泊数+2になることもあるでしょう。では5泊10日の場合、泊数+5をいかにして生み出すのか。早速旅程をご紹介しましょう。
11/20(月) 18:40 東京(NRT) → 11/21(火) 1:20 シンガポール
11/22(水) 0:15 シンガポール → 11/22(水) 7:15 パリ(CDG)
11/27(月) 22:20 パリ(CDG) → 11/28(火) 17:55 シンガポール
11/28(火) 23:55 シンガポール → 11/29(水) 7:30 東京(NRT)
おわかりいただけただろうか?深夜便を4回使い機内で実質4泊し、5泊10日という旅程を生み出せるのです。この旅程の最大のメリットはその分ホテル代が浮くこと。シンガポールで丸1日観光しているのにホテル代に1円たりともかかってないんですよ?しかしうまい話には裏があるのが世の常。その分代償を払うことになります…。ここからは、そんな5泊10日の旅のエッセンスを凝縮した旅行記を2日に分けてお届けします。みなさんもクリスマスソングでも口ずさみながら、パリまでの遠い遠い道のり、自分の体調の悪さとパリの華やかな雰囲気の温度差、そしてパリを出てから東京までの気が遠くなるような25時間の道のりを追体験していただければと思います。Bon voyage !
シンガポール編①:午前1時。暇。
Welcome to Singapore! 成田からの7時間40分のフライトを終え、シンガポール午前1時20分着。時代は変わるもので、知らない間に電子化されていた入国ゲートを通り、パスポートにスタンプをもらえないもの悲しさを感じながら預入荷物をゲット。さて、市内の観光スポットに行こうにもMRTが動いていないし観光施設も開いていない。でも大丈夫。チャンギには最近できたJEWELという商業施設がある!とワクワクしながらJEWELに行くも、暗い。植物園は24時間営業とは書いてあるが、植物園というより真っ暗の森で怖くて入れない。1店舗だけカフェが開いていたのでチャイを頼み、朝まで耐久が始まった。MRTが動き出すのは大体5時半。観光施設系が開くのは大体10時半、早くて9時半。しかもシンガポールには行ったことはあるもののマーライオン見たことないし24時間見られるマーライオンでも見るか、と思いきやまさかの改修工事中。とりあえず7時くらいまで耐久して空港から街中までの移動に約1時間、残りは街歩きでもしようと決め、朝まで耐久…。
シンガポール編②:Cfa→Af(☜イマココ!)→Cfb
ようやく朝。機内じゃなくカフェでエコノミークラス症候群になるかと思った。爆速で動くエスカレーターを下りMRT乗り場へ。滑らかな平面が現実世界に存在したのかと思うレベルでつるっつるの座席から吹き飛ばされないように足腰に力を入れながらMRTに揺られること1時間、リトルインディアというインド人街に到着。日本では味わえないインド感があって面白い。周りの人がみんなヒンディー語(推測)を話してる。ヒンディー語(推測)を話すインド系の方々と言語の壁を超えた大変に刺激的な交流ができた。シンガポールは多民族国家感が強くて新鮮…なのはいいのだが、いかんせん蒸し暑い。シンガポールはAf。11月下旬のCfaから来た人間には辛い…。(地理を選択していなかった方はケッペンの気候区分で検索してください。いないとは思いますが地理勢なのに覚えていないという不届き者は今すぐ参考書を引っ張り出してきて復習してください。)その後お買い物をしたり、オーチャードでAf名物スコールに襲われたり、デパートのトイレで堂々と下着姿でずぶ濡れの服を乾かしている人に遭遇したり、スコールは止んだもののスコールでずぶ濡れになった船でディナークルーズをしたりして空港へ。ラウンジの20分制限があるシャワーを全速力で浴びて搭乗口へ向かう。チャンギは搭乗口でセキュリティチェックをする変わった構造の空港。やけに厳しいセキュリティチェックをなんとか突破して搭乗。この日の歩数は2万2000歩超。長い1日だった。ちなみに件のマーライオンは写真のように完全に覆われていた。イラストはかわいいのがなんか悔しい。
パリ編①:ちょっ、あの、喉がっ、ゲホッ
機内で泥のように眠ること14時間超。Bienvenue à Paris ! 朝着なのでほぼ丸1日観光できるということで、サン=ジェルマン=デ=プレ一帯でお買い物ツアー。大きいデパートから小さいお菓子屋さんまでいろいろあってすごく楽しい。Noëlシーズンなのでお店は内装も品揃えも紙袋もNoël仕様になっており、お買い物をする人たちもどこか楽しげでテンションがとても上がる。が、寒い。寒いというのも含めて冬のパリという感じがしてこれはこれで趣深いのだが、やはりAfとCfbの差は身体にくる。気温差が大きいと体調崩しやすくなるなあ(フラグ)。一通りお買い物を終え、ホテルでチェックイン。パリなのに部屋は広いし眺めも良い!…のだが、乾燥がひどい。それはそれは乾燥がひどい。だが75時間くらいぶりのベッドを目の前に乾燥対策なんて頭から抜け落ち、ベッドで寝たいという欲望で頭が支配される。(余談ですが、日本出発日の1限の授業ちゃんと出たので朝6時起きだったんですよ…。)足を伸ばせるの最高。爆睡。
翌日。朝一でフランスの栄光の象徴ヴェルサイユへ。ルイ14世の騎馬像は何度見ても凛々しくて素敵!まずは大宮殿で太陽王やマリー=アントワネットなどフランスの礎を築き上げた英雄たちのご尊顔を拝し背筋を正す。その後舌を噛みそうで怖いと思うレベルで乗り心地が悪いプティトランという簡易版連接バスのような乗り物で大宮殿以外にもプティパレなど色々と巡る。石畳なので乗り心地の悪さは仕方ないのだが、シートベルトないと怪我人でそう…。なんとか五体満足で生還し、その場のノリで帰り道の近くにあったオルセーへ。のんびり鑑賞した後お買い物をしてホテルへ戻る。初日に引き続き今日も至る所で路上喫煙者がいて大変だった…と思いながらホテルでのんびりしていると、どうも咳が出る。体も重い。平衡感覚もない。耳鳴りもする。疲労+湿度差+気温差+乾燥(機内&ホテル)+副流煙でHPはゼロ。特にパリは副流煙がかなりきつい。この5つのどれか1つあるだけですぐ体調を崩す人間なので案の定体調を崩し、日本から持っていった薬を飲んで就寝。つら…。
さて、まだ日程の半分しか消化していませんし不穏な終わり方ですが長くなりすぎたので今日はこの辺で。明日はパリ編後半から帰国までの様子をお届けします。À demain !
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